【早稲田大学・gooリサーチ共同調査】 ~ブログの影響力を左右するのは「物語性」と「読み手への呼びかけ」~
平成21年6月15日
お知らせ
早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所
NTTレゾナント株式会社
NTTレゾナント株式会社
【早稲田大学・gooリサーチ共同調査】
ブログの影響力に関する調査
~ブログの影響力を左右するのは「物語性」と「読み手への呼びかけ」~
早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所(東京都新宿区、所長:商学学術院教授 恩蔵 直人)とインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、全国の「gooリサーチ」登録モニターを対象に「ブログの影響力に関する調査」を実施しました。
今回の調査では、ブログの記事が持つストーリー性やエピソード性=「物語性(ナラティブ度)」(*注1)に着目し、その「物語性」と、ブログで語られているテーマ(「旅行記」など)やブログで語られている対象(「温泉」など)に対する評価との関係、さらに、ブログ・書き込みに対する評価との関係を明らかにするため、その相関について分析しました。
その結果、ブログの記事において「物語性」が高いと、ブログで語られているテーマに対する評価と、ブログ記事そのものに対する評価の両方が高くなるなど、プラスの相関関係があることがわかりました。このことから、ブログの「物語性」を高めることは、ブログの好感度を高めることにつながると考えられます。
今回の調査では、ブログの記事が持つストーリー性やエピソード性=「物語性(ナラティブ度)」(*注1)に着目し、その「物語性」と、ブログで語られているテーマ(「旅行記」など)やブログで語られている対象(「温泉」など)に対する評価との関係、さらに、ブログ・書き込みに対する評価との関係を明らかにするため、その相関について分析しました。
その結果、ブログの記事において「物語性」が高いと、ブログで語られているテーマに対する評価と、ブログ記事そのものに対する評価の両方が高くなるなど、プラスの相関関係があることがわかりました。このことから、ブログの「物語性」を高めることは、ブログの好感度を高めることにつながると考えられます。
■総括
多くのブログが情報発信をしている中で、「人気ブログ」と呼ばれるブログには何らかの法則があるのでしょうか。読み手に影響を与えるブログとはどういうものかを明らかにするために、ブログが持つ「物語性(ナラティブ度)」(*注1)に着目した調査を実施しました。
人の会話や思考、記憶は大抵の場合、物語(ストーリー、エピソード)形式をとっています。このことから、出来事の時間的経緯や出来事の因果関係が整理されており、起承転結が明確に描かれ、筆者の考えや気持ちが文面から十分に理解できる、読み手が自分のことのように理解し共感できるといった、ストーリー性やエピソード性が高いものほど、「物語性」が高いとされており、マーケティングにおいても「物語性」を重視したCMやポスターなどの広告展開を見かけます。
そこで、本調査では、回答者がブログの記事に対してどの程度「物語性」を感じるかを調べ、回答者が感じた物語性の度合い(*注2)によって回答者を3つのグループに分けて、グループごとのブログに対する評価を比較したところ、物語性が高いと感じたグループでは、物語性が低いと感じたグループよりも、ブログで語られているテーマ・対象に対する評価、並びに、ブログ記事そのものに対する評価が高いという結果になりました。また、ブログの中で「あなたもこんな経験がありませんか」「**だと思いませんか」など読み手に対して呼びかけがある場合に、ブログの物語性が高まることも調査の結果から明らかになりました。
このことから、ブログの影響力を高めるための一つの方法として、時間的経緯や因果関係が明確で、読み手の理解や共感を得られるような「物語性」の高い記事にすることが効果的だと考えられます。その上で、読み手に呼びかけることでさらに効果が上がることが期待されます。
多くのブログが情報発信をしている中で、「人気ブログ」と呼ばれるブログには何らかの法則があるのでしょうか。読み手に影響を与えるブログとはどういうものかを明らかにするために、ブログが持つ「物語性(ナラティブ度)」(*注1)に着目した調査を実施しました。
人の会話や思考、記憶は大抵の場合、物語(ストーリー、エピソード)形式をとっています。このことから、出来事の時間的経緯や出来事の因果関係が整理されており、起承転結が明確に描かれ、筆者の考えや気持ちが文面から十分に理解できる、読み手が自分のことのように理解し共感できるといった、ストーリー性やエピソード性が高いものほど、「物語性」が高いとされており、マーケティングにおいても「物語性」を重視したCMやポスターなどの広告展開を見かけます。
そこで、本調査では、回答者がブログの記事に対してどの程度「物語性」を感じるかを調べ、回答者が感じた物語性の度合い(*注2)によって回答者を3つのグループに分けて、グループごとのブログに対する評価を比較したところ、物語性が高いと感じたグループでは、物語性が低いと感じたグループよりも、ブログで語られているテーマ・対象に対する評価、並びに、ブログ記事そのものに対する評価が高いという結果になりました。また、ブログの中で「あなたもこんな経験がありませんか」「**だと思いませんか」など読み手に対して呼びかけがある場合に、ブログの物語性が高まることも調査の結果から明らかになりました。
このことから、ブログの影響力を高めるための一つの方法として、時間的経緯や因果関係が明確で、読み手の理解や共感を得られるような「物語性」の高い記事にすることが効果的だと考えられます。その上で、読み手に呼びかけることでさらに効果が上がることが期待されます。
■調査結果のポイント
(1)「物語性」の高いブログは読み手に対して影響力がある
架空の「ブログに掲載された温泉旅行記」を提示(*参考3)し、ブログに対して感じた物語性の高さで回答者を3グループに分類して分析を行ったところ、ブログに対して物語性が高いと評価したグループでは、ブログ記事で語られている対象やテーマ(本調査の場合は「温泉」)についての評価が、物語性が低いと評価したグループに比べて高い傾向があった。また、ブログ記事そのものに対する評価についても、物語性が高いと評価したグループでのほうが、物語性が低いと評価したグループより高い傾向があった。このように、ブログの記事に対して「物語性」を高く評価した人は、ブログで語られている記事・テーマに対して評価が高く、また、ブログ記事そのものに対しても評価が高い傾向があった。
(2)読み手への呼びかけが「物語性」を高める
ブログの中で「あなたもこんな経験がありませんか」と自らの経験を思いださせるような呼びかけや、「**だと思いませんか」と読み手の意見形成を促すような呼びかけがある場合と、呼びかけがない場合を比較したところ、ブログ内に読み手への呼びかけがある場合とブログの物語性にプラスの相関関係があることがわかった。つまり、ブログ記事に読み手への呼びかけがある場合にブログの物語性が高まり、そのブログに対する評価が高いという傾向があることがわかった。さらに、元々関心がある対象やテーマにおいて、記事内に呼びかけがあると、より一層ブログの物語性が高まることが明らかになった。
(3)年齢が高い人、関心度の高い人、情報感度の高い人で「物語性」を重視する傾向
年齢を23歳以下、~35歳以下、~47歳以下、48歳以上の4つのグループにわけて、物語性の平均値を比較したところ、年齢が低い人より高い人のほうが物語性を高く評価した。また、ブログで語られている対象・テーマ(「温泉」「旅行」など)に対して元々、温泉や旅行に関心が高い人は、物語性を高く評価しやすいことがわかった。さらに、話題や考え方を自分なりに工夫して表現する、話題や情報を人に正確に詳しく伝える、話題を集めものごとを人に勧める、そうした情報感度の高い人は、物語性を高く評価する傾向が強いことも明らかになった。
(*注1)【物語性(ナラティブ度)】
文章において、出来事の時間的経緯がわかりやすく、因果関係が整理されており、起承転結が明確に描かれ、筆者の考えや気持ちが文面から十分に理解できる、読み手が自分のことのように理解し共感できるといった、ストーリー性やエピソード性が高いものほど物語性が高いとされる(出所:Delgadillo, Yvonne and Jennifer Edson Escalas (2004))。
このことから、本調査では、表1にあげた9項目を物語性の高さを
(1)「物語性」の高いブログは読み手に対して影響力がある
架空の「ブログに掲載された温泉旅行記」を提示(*参考3)し、ブログに対して感じた物語性の高さで回答者を3グループに分類して分析を行ったところ、ブログに対して物語性が高いと評価したグループでは、ブログ記事で語られている対象やテーマ(本調査の場合は「温泉」)についての評価が、物語性が低いと評価したグループに比べて高い傾向があった。また、ブログ記事そのものに対する評価についても、物語性が高いと評価したグループでのほうが、物語性が低いと評価したグループより高い傾向があった。このように、ブログの記事に対して「物語性」を高く評価した人は、ブログで語られている記事・テーマに対して評価が高く、また、ブログ記事そのものに対しても評価が高い傾向があった。
(2)読み手への呼びかけが「物語性」を高める
ブログの中で「あなたもこんな経験がありませんか」と自らの経験を思いださせるような呼びかけや、「**だと思いませんか」と読み手の意見形成を促すような呼びかけがある場合と、呼びかけがない場合を比較したところ、ブログ内に読み手への呼びかけがある場合とブログの物語性にプラスの相関関係があることがわかった。つまり、ブログ記事に読み手への呼びかけがある場合にブログの物語性が高まり、そのブログに対する評価が高いという傾向があることがわかった。さらに、元々関心がある対象やテーマにおいて、記事内に呼びかけがあると、より一層ブログの物語性が高まることが明らかになった。
(3)年齢が高い人、関心度の高い人、情報感度の高い人で「物語性」を重視する傾向
年齢を23歳以下、~35歳以下、~47歳以下、48歳以上の4つのグループにわけて、物語性の平均値を比較したところ、年齢が低い人より高い人のほうが物語性を高く評価した。また、ブログで語られている対象・テーマ(「温泉」「旅行」など)に対して元々、温泉や旅行に関心が高い人は、物語性を高く評価しやすいことがわかった。さらに、話題や考え方を自分なりに工夫して表現する、話題や情報を人に正確に詳しく伝える、話題を集めものごとを人に勧める、そうした情報感度の高い人は、物語性を高く評価する傾向が強いことも明らかになった。
(*注1)【物語性(ナラティブ度)】
文章において、出来事の時間的経緯がわかりやすく、因果関係が整理されており、起承転結が明確に描かれ、筆者の考えや気持ちが文面から十分に理解できる、読み手が自分のことのように理解し共感できるといった、ストーリー性やエピソード性が高いものほど物語性が高いとされる(出所:Delgadillo, Yvonne and Jennifer Edson Escalas (2004))。
このことから、本調査では、表1にあげた9項目を物語性の高さを